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2013年9月16日 (月)

 以前、伊豆の畑毛温泉に「駒の湯本家」という旅館があり、私は「大仙家」が昔の経営でなくなってから、ここによく泊まった。
 部屋はたいがい往来に面した角の六畳だった。
 ある朝、食後にぼんやりしていると、窓が開いて、仲居さんが覗き込んだ。
 「これ、食べて」
 といって、紙につつんだ少しばかりの苺を差し出す。
 「死んだ兄さんが、いつもお客さんみたいに机に向かって、勉強ばかりしてたんだ。畑でとってきたから、食べて」という。
 苺は白っぽく、みずみずしかった。

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