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2013年12月

2013年12月31日 (火)

「大林」の肉豆腐

 東京の居酒屋の肉豆腐は、おおむね醤油と味醂で豚肉と豆腐を煮る。少し甘いことが多いが、「大林」のは甘くない。辛子がついてくるが、これにすこぶる合う。

2013年12月29日 (日)

鰊の煮物 

 昔、微温湯温泉で賄いを手伝っていた「ばっちゃん」は煮物が上手で、鰊の煮物をよくつくった。
 鰊と筍に高野豆腐などを適宜加え、木の芽を添える。鰊の旨味が良く出て、トロリとした濃厚な汁が鉢に残る。こういう物はすべて年寄りが上手で、若い者は遠く及ばない。

2013年12月27日 (金)

「氏家鯉店」

 田中温泉の食事はつましかったが、仲居のツンちゃんとヨッちゃんが時々鯉の洗いを御馳走してくれた。宿のすぐ近所に「氏家鯉店」という鯉屋がある。そこから取るのである。
 ある時、M円氏とK元君が東京から遊びに来た。玄関の真上にある二階の座敷で、満月をながめながら一献した。この時の鯉の洗いが一番旨かったように思う。

2013年12月25日 (水)

筍の天麩羅

 若筍は何にして食べても美味いが、木の芽を添えた天麩羅も良い。汁気があって柔らかいのを、私は「中里」でさんざん食べた。千葉の筍だった。

2013年12月23日 (月)

ナメコ

 山形・最上の瀬見あたりには「雪の中でもナメコはオガる」という諺がある。この秋、初雪のあとにナメコとムキタケが沢山出た。番頭さんが山で採ったナメコを持って来てくれたが、大きくて、笠が開いていて、売っているものとは蜆と浅蜊ほどの違いがある。
 「やまや」のおかみさんが早速豆腐と葱を入れて、ナメコ汁にしてくれた。しなやかな歯ごたえで木の香がする。「栽培のは、おがくず臭くて美味くねえ」とおかみさんはいう。
 このナメコは醤油煮も良かった。

2013年12月22日 (日)

山葡萄酒

 昔、大学の同級生の佐藤Mが夏休みに「チャリンコ」で北海道旅行をした。駅で寝ていたら駅長さんが家に連れて行って、手製の山葡萄酒を飲ませてくれた。
 「ウンコみたいな匂いだったけど、美味いんだ」と言っていた。
 私はどぶろくはよく飲むけれど、山葡萄酒はこの秋、瀬見で初めて飲んだ。
 葡萄汁と同じ匂いがした。味も同じようだった。

2013年12月20日 (金)

言問通りの大学芋

 昔、浅草の千束通りと言問通りがぶつかる角に、富士銀行の立派な建物があり、その並びに「千葉屋」という大学芋屋があった(今は移転したけれども、やはり言問通り沿いにある)。
 お手伝いの花ちゃんたちがよく買って食べたけれど、私はあの胡麻の香りがあまり好きでなかった。

2013年12月18日 (水)

モクズガニ

 上海蟹に近い種類のモクズガニは日本各地でとれるし、食べる。
 ヴィリエ・ド・リラダンの翻訳者・斎藤磯男は山形の人だが、山形でもこの蟹を食べる。ある時、斎藤先生は出先でモクズガニを籠一杯もらい、喜んで帰途についた。電車の中で眠っていたら、寝ている間に蟹が這い出し、大慌てしたという話を何かで読んだ記憶がある。
 もうせん中国から上海蟹が入らなくなった時に、「龍口酒家」の石橋さんがモクズガニで酔蟹をつくってみた。味は悪くなかったが、少し淡白すぎた。

2013年12月15日 (日)

シャコ

 昔、明石の駅前でA井さんと待ち合わせた時、早く着いてしまったので、時間つぶしに近所の飲み屋へ入った。シャコを頼んだら、茹でた殻つきのがバケツに一杯出て来た。鋏を渡してくれて、これを使って食えと言う。やってみたが、殻は仲々堅くて剣呑である。何度も手を怪我しそうになった。
 寿司屋などでシャコの爪の肉を出すけれども、あの珍味の有難さがわかった。

2013年12月12日 (木)

鉄砲漬け

 私は瓜の鉄砲漬けが嫌いでない。
 昔、鉛温泉の自炊部に滞在していた時、売店に「なめとこ山の鉄砲漬け」とかいうような名前の商品を売っていた。袋には漁師の絵が描いてあった。
 蜆汁とこれと鯨の大和煮を買って、熱い御飯を食べた。

2013年12月10日 (火)

「あるぷす」のオムライス

 浅草伝法院の近く、蕎麦屋の「翁庵」の隣に「あるぷす」という店がある。老夫婦がやっている小体な食堂で、店内には壁一面に色とりどりの品書が張ってある。けだし珍味の宝庫で、酒も飲める。まぐろのぶつや鰻の卵とじを肴にハイボールを楽しむのも良い。
 ある時、ここでオムライスを頼んだが、仲々出来て来ない。随分閑がかかると思っていたが、食べてみるとじつに美味であった。

2013年12月 5日 (木)

エッグスタンド

千葉の新検見川に住んでいたT石のおじさんは、ハイカラな物が好きだった。
 子供の頃泊まりに行くと、朝御飯にトーストと半熟卵が出た。卵はエッグスタンドに乗せて、匙で上の方を割って、中身を食べるのである。不思議な食べ方だと思った。それに、わが家では茹で卵は固茹でにする。半熟というのはオツな芸当のように思われた。

2013年12月 3日 (火)

やす幸のつみれ

 銀座のおでん屋「やす幸」のつみれは店の名物で、私も行けば必ず頼む。鯵のつみれに山芋を使い、舌触りは獅子頭のようで、口の中で優しくほどける。柚の香りが実に良い。
 数年前、揚州の「揚州人家国際大酒店」で「金玉膾」という料理を食べた。これはいわば鱸のつみれで、やはり柚を利かせていて、そっくりの味だと思った。

2013年12月 1日 (日)

龍眼

 昔、果物屋によく干した龍眼を売っていた。
 この物は茘枝と同じで、生のままなら果肉は透きとおっているけれども、乾物にすると黒っぽくなり、種のまわりにへばりついている。
 一種のジャムのような濃厚な甘味があり、あれもまた懐かしい。

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