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2015年4月

2015年4月16日 (木)

「丸万」

 南千住の素盞雄神社の並びに、数年前まで「丸万」という鮨屋があった。古い造りで、付け台は昔風の黒い漆塗りだが、あちこち禿げちょろけている。ネタは甚だ悪いが、店主はわたしの中学校の平戸先生(音楽の先生)に似ているし、握り方はまあまあなので、小腹が空いた時、鉄火巻を食べに行った。
 キンカ頭のおかまの老人が始終酒を飲んで、泣いたり愚痴を言ったりしていた。この人は何も食べず、いつも大きな握り飯をこしらえてもらい、持ち帰った。
 ある時、正月に行ってみたら珍しく仕入れが良く、大きな蝶が羽ばたくような、立派な赤貝を食べさせた。この店にも昔は栄華があったのだろうと思った。

2015年4月13日 (月)

神戸の穴子

 思い出すのは関西大震災の前、A氏と神戸で飲み歩いた末、夜中に氏の家の近所の鮨屋に入った。店は二階。狭いカウンターに坐り、暗い電燈の下で鮪と穴子の握りを食べた。 
 あの店も地震でなくなったそうだ。

2015年4月 9日 (木)

「喜楽」の中華丼

 渋谷の百軒店にあった「喜楽」というラーメン屋は今もあるかどうか知らない。ここはラーメンも良かったが、豚マメの入っている中華丼が美味かった。具を高温の油でサッと炒めるからで、中国料理という感じがした。

2015年4月 6日 (月)

青森のブリコ

 以前、青森駅前の市場に寿司屋があり、酸ヶ湯温泉へ行った帰りに昼酒を飲んだことがある。   
 ガラスケースの中をふと見ると、赤紫の楊梅のようなイガイガした丸いものが入っている。訊いてみると、それはブリコで、ハタハタの生んだ卵がそんな形になって渚に転がっているのだという。子供のおやつに食べさせようと取って来たそうだが、一つ食べさせてくれた。珍味だった。  
 五所川原出身のタクシーの運転手曰く、昔はブリコと林檎を食べながら、紅白を見たものだと。

2015年4月 2日 (木)

「栃木屋」の熊鍋

 新宿西口、ガードを越えてすぐのところに、以前「栃木屋」という山小屋風の造りの「ももんじい屋」があった。一度、幻想文学会の会長たちと行って、熊鍋、鹿鍋、猪鍋、鹿の刺身、狸汁などを食べた。  
 初めての熊鍋は白い脂身の部分が多く、その端に少しばかり焦げ茶色の肉がついている。鯨ベーコンのようである。匂いが強くて、まるで熊胆(くまのい)を食べているようだと思った。  
 今にして思うと、あれは「熊白」というものであろう。

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