グミ酒
子供の頃、ねえやの花ちゃんから、山にはアケビやグミの実という美味しいものがあると聞かされた。アケビの方は随分前に八百屋で買って、その正体を知ったが、グミは五十をすぎて初めて現物に出会った。
瀬見温泉の宿の番頭さんが、秋に手製のグミ酒をつくってくれたのである。
グミの実はイクラほどの大きさの粒で、赤い。初め焼酎に漬けてあったが、新しくて渋味があった。飲んでしまってから泡盛を入れてみると、初めのうちは合わなかったが、三ヶ月ほどすると、薄い色がついて良くなって来た。しばらく冷蔵庫で寝かしておいた。