3 獣類の部(南蝶食単)

2015年7月24日 (金)

馬のレバー

 亀有というところに何か良い物があるかと思い、ある日フラリと電車に乗って行ってみた。  二、三軒梯子をして、とある居酒屋で馬のレバーを食べたが、薄桃色で、牛レバよりもブキブキしていた。

2015年4月 2日 (木)

「栃木屋」の熊鍋

 新宿西口、ガードを越えてすぐのところに、以前「栃木屋」という山小屋風の造りの「ももんじい屋」があった。一度、幻想文学会の会長たちと行って、熊鍋、鹿鍋、猪鍋、鹿の刺身、狸汁などを食べた。  
 初めての熊鍋は白い脂身の部分が多く、その端に少しばかり焦げ茶色の肉がついている。鯨ベーコンのようである。匂いが強くて、まるで熊胆(くまのい)を食べているようだと思った。  
 今にして思うと、あれは「熊白」というものであろう。

2014年12月23日 (火)

「月川」のもつ鍋

 博多の六本松には九州大学のキャンパスがあったが、今はよそに移転してしまった。その近くに「月川」という小体なもつ料理の店があり、仏文学者のM氏が連れて行ってくれた。
 店は家庭的な感じで、席は少なく、浅草に昔あったお好み焼き屋のような雰囲気である。もつ鍋はキャベツと韮に各種のモツが入っていて、下ごしらえしてあるのを煮え立たせて食べる。一鍋食べたら、またお代わりをもらう。最後に入れる麺も仲々良い。

2014年11月10日 (月)

おたくり

 昔、上田の駅近くの飲み屋で「おたくり」というものをとった。馬の腸の煮込み也。

2014年10月 8日 (水)

沖縄のおでんの「てびち」

 沖縄のおでんには、しばしば「てびち(豚足)」が入っている。わたしは「二十番」の近所のおでん屋で食べたが、トロトロに煮えていて、良かった。

2014年7月21日 (月)

M君の馬肉化

  かつて大勢で信州の鹿教湯温泉へ行った時、松本が実家のM君のお婆さんが亡くなり、お兄さんが旅館へ迎えに来た。M君は去り、お兄さんが土産に馬刺の包みをくれた。
 「Mさんが馬肉になっちゃったーー」
 とKちゃんが言ったのを今も忘れない。
 馬刺は晩の酒の肴となった。

2014年3月30日 (日)

チー・キョフテ

 昔、原宿の「パレ・フランス」ビルの地下に「ヴァッシーアット」というトルコ料理屋があり、よく行った。
 ある時、ここで珍しい物が出て来た。生の牛肉に赤唐辛子などをたっぷり加え、つみれのようにした物で、エジプト人のコックがつくったのだという。「チー・キョフテ」というらしいが、葡萄酒にもイェニ・ラークにも合った。
 ベリーダンスを見ながら、そいつを食べるのはオツであった。

2014年2月18日 (火)

駒場東大前の線路の近く「いろは」の煮込み

 豚もつの煮込みを初めて食べたのは学生時代である。駒場東大前の線路の近くに「いろは」という細長い居酒屋があり、もつ焼きと煮込みを食わせた。煮込みは味噌味で、辛子がついて来るので、少し入れて食べた。
 ホッピーというものを初めて飲んだのもここで、カウンターの上に空壜をズラリと並べたのを忘れない。

2014年2月15日 (土)

「玉那覇」のてびち

 かつて山手線の新宿駅と新大久保駅の間に「彦左横丁」という小さな飲み屋街があった。電車に載っていると、窓から看板が見えるのである。
 ここに「玉那覇」と書いた大きな赤提灯が下がっていて、首里の泡盛「瑞穂」を飲ませた。私はここでトロトロに煮たてびち(豚足の煮込み)にコーレーグスをかけて食べるのが好きだった。沖縄そばも美味かった。
 店は後に風鈴会館の近所のビルへ越したけれども、いつのまにかやめてしまった。

2013年11月18日 (月)

「埼玉屋」の桜鍋

 昔、浅草国際通りに「埼玉屋」という居酒屋があり、幻想文学会の会長達と一度入ったことがある。
 ここの桜鍋は「中江」や「みのや」と違い、甘辛でない味噌仕立てで、別種の風格があった。

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